ことばの惑星通信 

人間ってなに?ことばってなに?生きるってなに?日々考えることを綴ります。

精神世界3.0 私たちは何を信じ、何を捨てるべきか

面白かった!

幅広く、そして深く、そしてとても専門的な内容だったのだけど、

作家の田口ランディさんの水先案内人の文章もすごくよくてますます

二人の能力者の話がよくわかる。

読み手の私たちに、同じ精神世界のことを知らない者、見えない者として

寄り添ってくれるランディさん。

 

ふたりの能力者とは、超能力の秋山眞人氏とスピリチュアリストの江原啓之氏のこと。

ランディさんはふたりと以前からの知り合いでもある。

 

私が幼いころブームがあった。

超能力のユリゲラー氏が来日、テレビに出演し、超能力でスプーンを曲げたり、

動かない時計を動かしたりした。

私は弟とスプーンを持ってテレビの前に座っていた。

曲がらなかった。

 

あるとき両親がふたりでスナックへ飲みに行って家に帰宅、

留守番の私たちに良いものを見せてあげると言って見せてくれたのが

グニャグニャに折れ曲がったスプーンだった!

なんでも、スナックのママさんは超能力で曲げたんだとか。

そのグニャグニャぶりにこれはやらせではない、やばいと思ったものだった。

 

秋山氏はそのスプーン曲げ少年だった。

その後、UFOのことだとかでも有名になりテレビにも出演。

だけどテレビの世界は非情だ。

散々持ち上げたあと落とす。

そして世間の激しいバッシング。

 

それはスピリチュアリストの江原氏も同様。

私が江原氏を知ったのはテレビの番組、オーラの泉

あれから15年以上だろうか、私は飽きたりすることなく

江原氏のスピリチュアリズムを今も学んでいる。

 

ランディさん、秋山氏、江原氏の3人は私もまた大好きなのだ。

だからこの鼎談本は待ちに待っていた。

 

ランディさんは物理学の話から始まり、自然界のこと、哲学のこと、

社会のことに至るまでほんとに博学。

大変に勉強されているのがわかる。

哲学者カントが視霊者スウェーデンボルグと文通までしていたなんて知らなかった。

カントは視えない世界を否定なんてしていなかったのだ。

科学者が象牙の塔にあって、わからない世界を否定することに

疑問を投げかけていたのだ。

 

「インテリ諸君、そもそも形而上学だって空想のお伽話みたいなもんじゃないの。

されば読者よ理性の詭弁、たとえば科学的なんて言葉を盲目的に信じて

検証もせずに騙されるのは、霊界の話に騙されるよりも

ほんとにカッコいいことなんですかね?」

と当時の知識人たちにカントは喧嘩を売ったようなものだとランディさん。

 

このあたりのランディさんの解釈すごく好きだ。

 

「オカルト」

精神世界のことをそうもいう。

オカルトは必要なのだと秋山氏はいう。

 

オウム事件以降、こういった世界のことを話すのはタブー視されて、

なにかというと宗教だと言われたり、変な人間扱いを受ける。

だけど、実はあれ以来私たち日本人が失ってしまったものはとても大きいのでは

ないのだろうかと考える。

日本人が古代から信じていた見えない世界のこと、

それを畏れ敬う気持ちを忘れてしまったのではないのか。

一見パワースポットだの言って、信じてるようにも思うけれど、

それもまたご利益目当ての宗教ともいえる。

私の願いを叶えてくださいっていう。

 

江原氏はこういうことにすごく厳しい。

「叶えてほしいならそれにふさわしい生き方をするべき」と常々言っている。

お花畑のエセスピリチュアルブームにはとても厳しい。

 

面白いとこで言えば、

本の中で「物質も情報を発している」というのがあって、

特に「石はおしゃべりだ」と。

私は江原氏の会員サイトで買えるパワーストーンを購入して、

数か月後に届いたとき、箱の蓋を開けた瞬間4個の石たちが

「ワー!」と歓声を上げた気がしたという経験がある。

 

 

「犀の角のようにただ一人歩め」

 

精神世界を知ることは人生を豊かにすると思う。

たしかにそれを思う。

知らないでも元気に生きていけると思うけれど、精神世界を正しく知っていくことで

きっと困難を乗り越えていくこともより楽になるのではと感じるのだ。

それがなぜなのかを知ることだから。

 

精神世界の探求はやさしさの探求だと江原氏は言う。

ほんとうのやさしさは分け隔てのない心から生まれると。

能力者として生きてきた中でさまざまな想像を越える苦労をされてきたと思う。

人間不信になることもたくさんあったという。

そういった体験が山ほどあって、そこをそんなものだと乗り越えてきたからこそ、

他者の気持ちにやさしいおふたりがある。

ランディさんはそこを上手に引き出して、そして私たち読み手に問う。

さてこれからどう生きますか?と。