子どもたちの階級闘争 ブロークンブリテンの無料託児所から
ブレイディみかこ氏の著作、ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルーを読んでこの作家を知った。
私は気にいったらその作家の過去の著作とか読み続ける。
この著作はその関連で読んだ。
ブレイディ氏は私と1歳違いの年齢。
しかも、イギリスを発端としたパンクロックウェイブの洗礼を受けてて、そこも私と同じ!でこういうのも勝手にうれしい。
そしてなによりうれしいのはそのアナキズム精神は少しも衰えていないところだ。
私は実は忘れてた。
パンクとかアナキストなんてもんは若いうちだけのことと悟っていた。
いい歳をしてなんて気になっていた。
でも、ブレイディ氏の著作を読みながら、「ほんとの自分でありたい」と痛切に感じたのだ。
懐かしいセックス ピストルズ。
彼らの曲をブレイディ氏は腹が立った時に今でもよく聞くのだそうだ。
私も好きだったな~
Sex Pistols - God Save The Queen
自分を偽って生きたくない、まわりから人が去っていこうと私は私の思うことを言い、思うことをする。
だって、明日死ぬかもしれないやん。
遅咲きのアナキストだ。
(いやいやずっとそうだったよって意見も影で)
パンクロックが生まれたのも、イギリスの階級社会への鬱憤がたまった若者たちからである。
労働者階級にはチャンスがない。
出世したいなら、サッカー選手かロックミュージシャンを目指せとは私が知ってる時代に聞いていた話だ。
ブレイディ氏の著作を読むと、今はまた様変わりがして、実はイギリスで大変に貧しいのは白人であり、移民たちが保護政策を受けて実はイギリス社会は逆転現象が起きているというのだ。
しかも、その親の中にはアルコール、ドラッグ依存というものも多く、そこでの子育てはどれほど悲惨なものか、また育てられないと判断されたこどもたちは親から取り上げられ、里親が育てるというシステムがある。
「私はダニエル ブレイク」という映画を観たとき、若い母親がこどもたちを連れていった先のフードバンクで棚に並べられたビーンズの缶詰を手に取り、蓋を開けて手を突っ込みその場で食べてしまうという場面があったけれど、それは大げさでなく事実だと。
フードバンクでじゃがいもを手に取り泣き出してしまう親もあるという。
食べられない、アルコール、ドラッグの依存地獄から抜け出せない、そして仕事がない。
ブレイディ氏は「無料託児所」で保育士をする。
そこから見た現実の風景。
「保育所から経済が見える」
「地べたから見た経済」
社会を知りたければ、金の流れを見ろということばを聞いたことがあるが、国民を救うはずの政策はことごとく一番貧しい者たち、弱者を苦しめていく流れになっていくだけだった。
これは他人事か。
底辺を見よと、出会った子どもたち、親たち、そしてそこで働く同僚たちとのエピソードで私たちに大切なことを伝えてくれる。
悲惨かもしれない。
でもその中で起こるできごとには人間のまだまだ救われる美しさがある。
社会はクソかもしれない、人生も同じかもしれない。
だけど、その中から「ただでは転ばない」スピリットを私たちはともに生きる中から見つけていけるのだと思う。
日本だって他人事ではない。
このコロナの影響で多くの経済破綻が出ることが予想されている。
コロナ前、コロナ後。
これからの時代をどう生きていくのか考える必読の書だと思う。